★同じトレーニングをくり返し、基本を身につける。
柔道で投げ方を覚えるときも、ゴルフで球を打つときも、1、2、3、とタイミングをとり、何度も何度もフォームを固めるまで、トレーニングします。ヴォイストレーニングも同じです。息を吐き、それを声にして、さらに大きくしたり伸ばしたりしているうちに、フォームができてきて、いろんなことができるようになるのです。形から入り、身を伴わさせていくのが早い方法です。 ブレスヴォイストレーニングは、一見バラバラにみえるプロヴォーカリストの声や体、息の使い方を分析し、その基本的な要素をメニュにしたものです。歌一曲では、判断しにくい実力の差を一つひとつの要素に分け、チェックしながら進めることで、確実にそのギャップを埋めていくことができます。つまり、一流のプロヴォーカリストなら、このトレーニングで求めている条件をその場でクリアできたのです。しかし、アマチュアや日本の多くのプロヴォーカリストでは、ほとんどできませんでした。そこに基本の力の差があります。 トレーニングですから、確実に上達しなければ意味がありません。誰でも確実に上達するためには、必ず鍛えられるところ、つまり、ヴォーカリストの体とフォームをつくることなのです。
□肩おとす
□胸の位置、高めにする □負担を背負う
□骨盤は前に出る ややひきしまる
□ひざ脱力
(大) ↑ 音量 ↑ | (低)←−−−●−→−→音域(高) | | | ↓ (小)
↑ | | (低)←−−−−−−●−−−−−−−−−−−−−−−→(高) | | ↓
□感情がストレートに伝わることを目的とします。 □迫力のあるパワフルな声が望まれます。 □体の底から出てくるイメージを大切にします。 □のどはしめないようにしてください。 □のどの弱い人はやめましょう。
□ことば 1.気持ちを込めて読んでみます。 2.切るところ(ブレス)を工夫してみます。 3.強調することばを強くしたり、のばしてみます。 4.弱くすることばを決めます。 5.一つの大きな流れのなかで表現してみてください。
□歌 1.楽譜通り(原曲)に歌う。 2.リズムを変えます。 3.フレージング、ブレスを変えます。 4.音、メロディを変化させます。 5.全く違う歌い方をしてみます。 6.ことばで言い切って、歌をまとめてみましょう。
□このときは、ドレミソで、ミからソに上がっています。ミにフレーズの中心をもってきて、しっかりと太くとっておくことです。
□それにより、音質を変えずに、ソに移ることが容易になります。このソも、フレーズのなかで強く捉えたいのですが、 □日本語の場合は、助詞にあたり、強く出せないので、ひびきにもっていくことが多くなります。この場合も「ちのを」でなく「ちいの」とします。
※声楽との最も大きな違いの一つが、ここで二通りに出せます。一つは、ソの音をシャウトする、より太く強く出すこと。もう一つは、ひびきでとる(演歌などは、これが多い)ことです。声楽では、ほとんど、フレージングのなかで捉え、4つの音を区別しません。ポピュラーの場合は、そこにもっとことばを直接、読みこみ、ダイレクトに伝えるためのメリハリをつけます。
↑ ひびき ← →のどあける ↓ 声の芯 たてに通す
(1) ラーラーラーラーラー (2) ラーーラーーラーーラーーラー 体でしっかりつかまえる
基本の力を応用していきます。 (1)と(2)では、単に伸びるだけでなく、 同じ質感、ヴォリュームを保つから、 体も3倍以上、必要となります。
2.いまはただ(ファミミレレ)
(1) いまは ただ (ことば) ことばで「今はただ」とはっきりといいます。
(2) いまは ただ すると、フレーズが表れてきます。このときの体の感覚をその後もいかします。
(3) い|ま|は|た|だ 均等に伸ばして、メロディ(ファミミレレ)をつけます。
(4) いまーは、ただ フレーズを大きくしていきます。
(5) いまは ただ 全体にヴォリュームをつけます。
(6) いまは ただ (6)歌のスタイルに整えます。
3.ア<エ>ア 4.ア<ア>ア 5.アエ<ア>エア 6.アエ<イ>オウ 7.アオ<ウ>イア 8.ド レ ミ レ ド ド レ ミ レ ド 9.ド ミ ソ ミ ド ド ミ ソ ミ ド
10.ド ミ レ ド
いまは ただ (ファミミ レレ)
(1) い<まは ただ (2) い〜〜〜〜〜ま (3) い〜〜ま〜〜は〜〜た〜〜だ (4) I MA HA TA DA (5) I A A A A (6) いーまは ただ
2.オーシャンゼリゼ オーシャンゼリゼ (ミ レ ドレド ファミ ドミレ)
このおおぞらに つばさひろげ 飛んでゆきたいよ ドレミミファミレ ミレドドレドシ ドシラドラソドレ
かなしみのない じゆうなそらへ つばさはためかせ ドレミミファミレ ミレドドレドシ ドシラドラソドレ
いきたい レドシド
※声楽では、ひびきを中心でもっていきますが、ポピュラーでは、ことばとリズムのセンスでうまく切っていき、伸ばせるところだけフレーズの処理をします。
そらをそめて もえたよ<しぬまで
(1) そらをそめて もえたよ しぬまで
(2) もえたよ しぬまで
さよならを もう一度 あなたに 1.このままいると こわれそうな (ドレミファファミファ ファソファラミミ)
ふたりーだから はなれるのさ (ラミレ レドレ ドレドミシシ)
2.「れーそうな」 (ファ ラミミ)
フレーズの展開のトレーニングはなるべく大きな流れをつくります。伸ばした声を波のようにしていくのです。
※この体なら、2オクターブ、フルに使えると思えるくらい、強く大きく息の吐ける体をつくりましょう。
※上昇、盛り上げと、おとしこみの感覚をつかみます。感情を効果的に伝えるための代表的な展開例です。
あなたゆえのわたしよ レレドレレドレレドシ
わたしゆえのあなたよー レレドレレドレレドミレ
いのちかけて いつまでも ことばでフック ↓つかんだ声を メロディでかっていく ※メロディ ことば センス 感覚をくずす 日本語の感覚
きみといきる その日に その日に ラシドレラシ ドドラレ レレレミー A canto a te A canto a te
only you (ソラミ) バッティングも強振すればよいわけではありません。力を維持してためて、中心をタイミングよく捉えなくてはなりません。
◆今までのヴォーカリスト (A) いつまでも定まらない 体がつかない ↓
◆ブレスヴォイストレーニング (B) 使っていなかった しぜんとのびていく しっかりした声
これをレ、ミまでつくっていっても、トレーニングとしては効果的です。また、太い声で歌う人には、そのまま使うのもよいでしょう。
これは、シャウト唱法で、声楽にはない発声です。 その上で、その2、3音下で、ひびきの方へバランスをかえて、 さらに半オクターブ以上を楽にとることを 確実に音量声域を拡げるために行ないます。 これは、その音(ラ)になると、 楽になり、音色も変わるのでわかります。 しかし、これは声区のチェンジというより、 上下につながった声で自由自在に歌うことで、音の高さでなく、歌により、上下のバランスが決まってくると考えています。
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