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ヴォーカル、ヴォイストレーニングQ&A

あとがき



最後に101問目の質問に答えたいと思います。

Q101

どうすればヴォーカリストになれるのでしょうか。
A101

ヴォーカリストは体ひとつですべてを表現する演奏者ですから、まずはヴォーカリストとしての体ができていることが第1条件です。さらに、これは芸ですので、全力をぶつけてくれなければ真の評価はできません。つまり答えは自分のなかにあって、その器の大きさを決めるのも自分自身というわけです。アーティストが本当の実力をつかむために集まる場としてブレスヴォイスという道場を開き、日本全国、いや世界の数多くのヴォーカリストやその卵たちと過ごしてきました。最近、ようやくこのレベルでの問答が成り立ち、私が取り組んできた活動が実を結ぶのを見る思いで、大きな喜びを感じています。

 結局、ヴォーカリストが表現するということは、声を殺して生かすことなのです。感情を込め表現するほどに声は朗々とでるものではなくなります。それでも日夜多大な努力をして培ってきた本当の発声や技術は、それを突き破って聞いている人の胸にダイレクトに響くのです。発声法でなく歌、技術でなく心、支柱、余裕、そして余韻となって歌を伝える力となります。この真実の扉は、毎日汗だくで努力している者にしか開けられません。本書から少しでも言外にある真実を感じていただけたら幸いです。熱き心をもち、私たちとともに汗を流したいという人との出会いを楽しみにしています。


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