1.声
一般のレベルでの、声の明瞭さとひびきの違いは、
息の深さや体との結びつきからきている。
2.話す声と歌う声について
1低音域(ソ−ミ)話し声
2中音域(ミ−ラ)歌の中心となる声
3高音域(シ−ソ)ハイトーン
この1〜3が、日本人の場合は、本来の声とつくりかえており、
外人の場合は一致している。
3.声域とヴォリューム感
日本人は声が高くなるほどに声となるポジション(感覚)が、のどへあがってくる。こ
れをよけるために、声を後頭部へまわしたり、眉間にあてようとする(それを発声のトレーニングと思っている)。
4.芯とひびき
外国人は、高低よりも強弱の感覚が強いため強さによって声を上ずらせたりしない。胸部でしっかりと声の芯を捉えており、その上で、しぜんに頭部へひびかせている。
5.シャウトとフレージング
日本人のシャウトの多くはのどでつくっており、本当にお腹の底から出しているものではない。体の中心で声がとれると、のどはしめずに、フレージングの上でシャウトができる。
共鳴(ひびき)させるかシャウトさせるかは、本当は表現上の問題にすぎないはずである。
6.リズムとピッチ
リズム感は、呼吸のなかで感じる時間であり一つひとつの拍が止まっているものではないはずだが、日本人は、声を点としてあててしか出せないのでノリが出ない。フレーズで息の流れからとるとしぜんとその点は動き、線がみえる。
音程についても同じことがいえる。日本人の音程は、二点の離れた点を飛ぶ
が、外国人は強弱のなかで、フレーズのなかでスムーズに移行できる。
7.音声イメージ
要は、口先で歌ってしまうと、表現が凝集もされず、解放もされない。声そのものの魅力もない。
外人ヴォーカリストは、心に何かを感じ、それを息を吐くことで声として表現している。しっかりと声をつかんでいるから、体からの息でその声を動かしていき、それが
描いた線が歌となる。
日本人のヴォーカリストでは音声イメージの空振り(口先だけの消化)で終わっており、声の魅力、技術が伴っていない。
以上、ことばで全てを伝えることは難しいが、この差を埋めていくのが、ブレスヴォイストレーニングであるから、この説明をどこか念頭においてトレーニングしてもらうとよいでしょう。
トレーニングのプロセス
応用メニュ
113.体で押し出す |
good by
ド ソ |
□声でもっていけないところを体で押し出すつもりでやりましょう。
□かなり高い音をひびかせずのどをしめずにやります。 |
114.発声をかくす |
きみを
(ミソソ)
発声がみえないように、大きな表現を試みましょう。
発声は、お客にみえるのでなく(お客との間に前に出るのでなく)表現や歌のうしろで支えているものでなくてはならないのです。
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□感情と体が結びついていること
□その間にわざとらしい発声やつくりがみえないこと |
115.強調 |
愛にやぶれた
(ドファソラファファファソファ)
いきたいよー
(ラドラファラドー) |
□フレーズのなかで息を吐く量を多くするだけです。
□声はしっかりとにぎっておき、強く出してもポジションがわからないようにしましょう。 |
116.強調から落とし込み |
それは愛のゆめ たとえ
(ラシドレミミソラードドシ) |
□どんどんと前半を盛り上げていきます。
□「ゆめ」までたたみこんでいくのです。
□「め<」で伸ばし息を吐き切ると、瞬時に「たとえ」を重ねて出しましょう。
□「たとえ」は歌わず、息の流れにのせるだけです。 |
117.ダイナミックに |
te e e
(レ レーレー)
どんどん強くして息を吐き切ります。
ダイナミックとは、密度やヴォリューム感を損なわず、
より大きな表現にすることです。 |
□方向性を定めます。一方向にふらつかないこと
□声の芯ははなさず、息を2倍4倍と吐き切ります
□しぜんとひびきやフレーズ、ヴィブラートがつくように
□多くの人は、ダイナミックにシャウトできません。
単に声を大きく出したり、伸ばすだけでは、よくありません
□完全にコントロールされ、流れをつかんでなくてはならないのです
□意識しても、計算しないこと。体と息の力でのせていきましょう
□少しずつ、より大きなフレーズがとれるようにしていきましょう |
118.ひびきでつなぐ |
ピイレ
(ミ レ)
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□声を弱めても、浮かせないこと、芯はなくならないようにします。
□フレーズのなかで、ひびきをのせ、声量をおとすだけです。体の中心からそらすのではありません。
□「イ」でしっかりと声の芯を確認しましょう。
□一つの音を体につけて押したまま、ひびき(B)を意識して、体で押し出す声(A)を抜いた状態といえます。
□もちろん、すぐに実声にもシャウトにも、もっていけるはずです。 |
119.歌唱としてまとめる |
自分の好きな曲を1フレーズでやってみましょう。
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次の4つの要素でチェックしましょう。
1.音声イメージ(心)
2.基本−声+息+体
3.構成
聞かせ方
方向性、ダイナミック
4.オリジナル
スタイル/メッセージ/ポリシー |
120.フレーズのまとめ方 |
ラララ
(ドソド)
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□音の間をしっかりと埋めておくこと。
□その音に届くだけでなく、音を充分に表現できる声であり、しかもそれがつながっていること。
□音の流れがみえること(一つの音を次に送る力)
□歌い手がひっぱっている(リードしている)こと
□そこに感情が表出していること |
121.声量の支えと増し方 |
何もつげず、去った日よ
(ミファソミシド ファソラファレシ)
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□ことばで強くいうときよりも、強く体と声を使って支えます
□そのまま音程とリズムをとります。
さらに体と息を要します。(高低でなく、強弱でとってください)
□その上で、自由に感情を表現します。口先だけの表現にならないように。 |
自由に表現する
122.歌詞とメロディの解釈 |
なんでもーわたしをあいして
(レドレミーラシドラミレドレ)
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□自分でフレーズをひいてみて考えてみましょう。
□たたみかけたり、押したり引いたりのかけあいメロディとことばをどう構成するかとい うセンスが問われます。
□できたらお客の期待以上に体を使い、さらに一押しする表現に挑みましょう。
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124.声区の差を埋める |
下のドから上のドまでスケール(「ラ」でよい) |
□高いところから、なるべく太く強く大きく声を出していく
□低いところから、太さは細くならないようにしながら、少しひびきを意識する。
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