集中力を強化する 60のヒント

(やる気の起きないときのモティベートのかけ方、テンションを高めるには)

 

(1)集中力が人生を決める

1 仕事のできる人できない人の違いは集中力

 仕事のできる人の見分け方は、さして難しくありません。その人が興味のあることについて、どのくらい集中しているかをみることです。ここにその人の総合能力、意欲、好奇心、関心、体力、忍耐力なども推し量れます。
 ただし、現実の仕事でどうかというと、それだけでは無理です。その人の興味のある仕事というのは限られています。そこでそのことが興味をもてる回路(接点)をつけなくてはなりません。
 興味のあることに、広がりをもてない人は、仕事の成果を問うことはなかなか難しいものです。つまり、集中力の応用力というのが、必要です。

 いわば、ゲーム好きのオタクに、建築の仕事をやらせても難しいでしょう。建築ゲームの制作さえ興味をもたないなら、その才能を生かせません。
 しかし、そこに人並み離れた集中力があるとしたら、それをうまく転向して生かしさえすれば、本人の可能性は無限に開花していきます。ゲームと建築の接点がついたとき、その人は常人離れした集中力を発揮するでしょう。だから、人をみるには、まずは集中力の深さをみろというのが、私の持論です。

 何でも広く浅く、素直に言うままにやれる人も貴重です。こういう人は、仕事に困らないから、さまざまなチャンスが得られます。何よりも仕事を覚える能力がついてきますから、いろんなことができるようになります。しかし、そこで仕事を一つ深められないと、いつまでも他人の指示の元でしか働けませんから、それ以上の成功は難しくなります。仕事を深めるには、他人よりももう一歩、踏み込める集中力が必要となります。

 多くの人と接してきて、この広く、深くという2タイプをよいバランスで兼ねている人材はとても少ないということ、またこれは2タイプというよりも、集中力からみると、真に深いということで同じことなのだというのが、私なりに理解してきたことです。
 集中力を深めて使う喜びを知っている人は、どんな仕事でも案外と、能力を発揮できるということなのです。つまり、深い井戸は深いところで、あらゆる水脈とつながっているということです。

2 仕事は集中力と弛緩で行なう

 集中しすぎる人が批判されることが多々あります。「あいつは打ち込みすぎると、みえなくなるんだよな」というように。しかし、考えようによっては、まわりからこのくらい言われるくらいでないと、集中したとはいえませんから、そう言われる人はご安心ください。
 逆にそう言っている人は、気をつけましょう。まるで自分は90分集中しただけで、ノーベル賞をもらえるくらいの力があると思いかねないような人が、ときにいるからです。

 仕事で大切なのは、成果を生む集中力かどうかということです。球筋をずっとみていて三振した、その結果、次か次の打席でホームランならよいのですが、すべて三振なら、次のゲームからは退場です。結果を出さなければ、すべて無意味とはいいません。しかし、結果が出ないものは精神的にも心身にもよくないので、やはり結果の出るもの、結果が出るように集中をした方がよさそうです。

 この集中状態をどうとり出し、くみあげていくかというのは、本テキストの核心です。
 仕事は、まして人生は、集中状態でのみ、対していくものではありません。集中しては、バタンキュー、それは非常事態での行動です。
 それなりに高めに集中力をキープして、継続していくことが、ロングスタンスの仕事や人生において肝心なことです。燃え切り症候群、一夜の花火となって散るのでは困ります。
 むしろ、一定のリズムをもって長丁場に対していくと考えた方がよいでしょう。リズムとは、強拍と弱拍、緊張と弛緩のくり返しです。
 集中して頭や体が痛くなるのは、集中のための弛緩を忘れているのです。自分のフォームを忘れているか、フォームづくりを怠っているのです。そのあたりも、攻めと守り、メリハリ、仕事の要点ですね。


3 集中力のない人はいない

 それにしても、集中力のない人というのはいるのでしょうか。
 私は世界中、いろんなところを旅しています。旅とは、忍耐の試し道場のようなものです。未開の地、つまり不便な土地へ行くとよくわかります。道場破りというより、野性動物との戦いのような修羅場におかれます。自然も環境も、人間のつくったモノの無力さをつきつけます。
 総じて安全で、食糧、通信手段のほぼ得られている現在の日本にいる日本人には、他の国に行くと必ず苦労します。

 ということで、旅はいろんなことを教えてくれるものです。私は世界の人々に比べて、自分がいかに忍耐力や集中力のない人間かを思い知らされてきました。
 ルーマニアで地下塩坑へエレベータ3時間待ちは、思い出すのも嫌なこと、確かに住人と違い、旅人には時間のくくりがあります。アラブのラマダンで、閉めた美術館、理不尽なアラーの教えに、何度も切れかかったものです。そんな私が、たとえば原稿を書くなら、5、6時間、集中できます。

 先日、漫画家の板垣恵助さんが、「最近30時間続けて書けなくなってきた」と言っているのを聞きました。プロの物書きにとっては、1日中、原稿と格闘するのは、集中力のなす術です。つらくも充実していることなのですが。
 ところが、この私も、400字3枚書くことに集中することがきついことがあります。心身の状態とも関係しますが、多くは次のような条件のときです。

  1.もっと楽しいことをやっているとき、やれると思うとき、やりたいとき
  2.その原稿が使われるかわからないとき
  3.その原稿の謝礼がないかもしれないとき
  4.テーマや書くことに全く興味がもてないとき、テーマのないとき
  5.〆切がないとき、ずっと先のとき
  6.飽きてきたとき
  7.忙しすぎるとき

 つまり、私たちの行動には、それを促すモティベート要因というのがあります。
 端的にいうと、A.楽しいこと、B.他の人に役立つとか、人に見られること C.実利があること、お金になること D.興味関心のあること E.時間制限があること などには、モティベートがかかり、集中できます。

 この5つを、整理してみると、
  (1)好きなものかどうか(A,C,D(B))……1、4
  (2)ピンチかどうか(E)……5

 2と3と6は、そのことが好きなら(1)に入ります。嫌いでも、B(他人への効果)C(お金)になるかもしれないと考えられるなら、(1)に入ります。
 ですから、興味のもてないテーマでも、多くの人や好きな人に読まれたり、たくさんの謝礼がもらえたりするというなら、私は集中できるでしょう。我ながら“現金”なものです。まして、金欠状態なら、喜んでやるに違いありません。まだそんな状態になったことがないのですが、お金がありすぎて困るくらいのときは、やるでしょうか?わかりません。

 つまり、集中力を考えるにあたり、この2つを中心に自分自身を知って対していくということなのです。
あなたも、好きなこと、ピンチのときには、必ず、集中しています。それは、人間というか生物には、そのような働きが、すでに組み込まれているからです。


4 何に集中するのかが問題だ

 私は、今日、テニスをするよりも書くことに集中します。それは、仕事をする日だからです。天気がよいのでテニスをしたい気もします。テニスをしたからといって、バチはあたりません。今の私に、上司もいないし、出勤もありません。今日、食べるお金はあるし、この仕事をしても今日、お金になりません。一人で書き続けるのは、それほど楽しいことではありません。
 でも、なぜ仕事をする日にしているかというと、そう決めた方がやるのに楽だからです。もちろん、そうは言っても「○○の○○さんが絶対、今日、今から会おう。」と電話してきたら、この行でペンが止まるかもしれません。

 でも私は知っています。自分との約束、ルールを守ることの大切さを、です。これに今日を集中しないと、後で苦しくなることを。
  1.この仕事が遅れ、迷惑がかかる
  2.この仕事が遅れ、他に引き受けた仕事にも、迷惑がかかる
  3.いずれ、追い詰められてやるのは嫌だ
 そして、思い出します。今日食べられるのは、去年、その分の仕事をしたからだということを。そこで、仕事があるのは、ありがたいことだと思うのです。

 でも、たまに前項目の3のピンチ、〆切間際まで待ち、すごい集中力で3日ほどで片づける快感を求めたくなることもあります。
 しかし、私も歳相応になってきました。よいものをつくるのに、時間と精神的余裕も欲しいとも思います。また、歳をとると、自分やまわりにいろんな不慮の事態も働きます。
 そこで、今日は今日のことをやる、その方が月並みな充実感も得られ、集中力や精神満足度も高くなるのです。楽しいことでなくともつらくない、嫌なことでないなら、よいというのもあり、です。それに、あなたに役立つと思って、仕事をする方が、遊ぶよりもずっと充実するのです。

 何に集中するのかというのは、大切なことです。人間、今が苦しくても将来が楽であれば、モティベートもかかるし、安心感がもたらされます。
 このように、理詰めで考えて、自分を追い詰めるだけでも、集中力は生じてきます。
 仕事というのは、自分を他人に役立てることで、自分をも生きやすくするものです。ですから、仕事がうまくいくように集中していくことです。もしうまくいかないのなら、集中力の使う方向を見直してみることです。


5 集中力の発揮できているときを考えてみよう

 私が、いろいろな仕事をやっている上に物書きをしているのは、書くのも表現だからです。
 作家といえるほどの作品もないし、学者や研究員が書くような論文ともいわないから、そういう類のものではないのですが。そこに、結構な集中力が使えて、心地よいからです。体を使うのも結構気持ちよいのですが、頭を使うのは、また違うよさがあるのです。

 何事も熱中していると気持ちがよいものですよね。ゲーム、スポーツ……。
 なのに、一見、なぜ仕事や勉強はそうでないのでしょう。それは、何か、強制されているようだからです。さらに、それだけでなく、そのことが、どこかで現実に結びつけていないからです。というか、将来のよりよい自分に結び付けられていないからです。

 勉強は、今すぐでなくとも、その見返りはどこか未来にくるものでしょう。でも、そのように実感して、勉強している人はあまりいません。
 仕事はもう少し早く結果が出ます。よい結果なら、大きな満足になるはずです。
 つまり、そこまでのイマジネーションをもてるかどうかが、人生のちょっとした別れ道なのです。でもこれが重なって、全人生なのですから、とても大切なことです。

 難しいことはさておき、あなた自身の集中力の発揮できていると思うとき、思うところ、そこからチェックしましょう。
 仕事の力をアップしたい人、受験生の皆さんは、集中力を増す図形なんかがあれば、欲しいですか。でも、それはあまり仕事や試験のために役立ちません。集中力がついても、実際に必要なことに対して、発揮しにくいからです。
 少し遠回りですが、あなたの置かれた現実から考えていくこと、それをなくしては、集中力は現実には生かせません。

集中力を発揮したい現場をイメージしましょう。それを5W1Hにしてみましょう。
 1.いつ
 2.どこで
 3.だれと
 4.何を
 5.どうする
 6.理由
これについては、あとで、もう少し詳しく説明します。


6 なぜ仕事に集中できないのか

 ここまで読んでくると、仕事に集中できない理由もわかってきますね。
  1.仕事がつまらない
  2.心身状態がよくない
  3.その他
 私にもあります。仕事に集中できないときが、たくさん。そのときの切り替え方法については後述します。

  ここでは次のチェックをしておきましょう。

  1.他に集中できるものと、どう違うのか(どのくらい違うのか)
  2.やり始め、やっているとき、やり終わるときの集中度の違い
  3.入り込むまで、どのくらいかかるのか
  4.仕事の状態(環境)と、集中の方向
 まず、好きなことで集中するのと、仕事でとは、どのくらい違うのかということから、スタートです。
 次に集中力の持続時間の問題。さらに、集中にいたるダッシュ力。

 私は、ずっとやりたくないんですね、あまり仕事というものは。ただ、机についたら集中します。そして、けっこう長くもちます。だから私には、最初のセッティングの問題が大きいです。
 不良の生徒が、なかなか机につかない。家庭教師がいるのは、勉強を教えるよりも、ムリに机につかせるためという、そこの部分ですね。ただ私は、ムリがキライなので、それもよくないのですが……。
 最後の4については、タフになりました。以前は、静かに一人で外部を遮断しないと、うまく集中できなかったのです。私はデスクでは、人並みの文章さえ書けなかったのです。今は、ほぼまわりの環境は問いません。

 電話していても、電話がきても、いろんな人が声をかけても、場合によりますが、途中中断も、およそ大丈夫です。自分なりのペースをもったのと急がなくなったためです。
 あと、今日だめでも明日とり戻せると、妙な開きなおりができてきたためです。
 人生における仕事の比重が下がってきたせいもあります。

 ですから、若い人には、私の若いときの経験からのアドバイスをいたします。
 それはできれば、できる限り外部を遮断し、集中できる時空を確保するということです。会社がそうでなければ、それ以外の時間を必ず、得てください。
 最大の集中できる環境で、集中する能力をまず磨くことからです。人恋しく、孤独の寂しさが、自分の生み出す作品で癒されるくらいに、円熟するまでは、集中効利主義に徹してください。少しでもよりよい集中環境を求めてみてください。


7 集中できる目的について分析してみよう

 先に、今、集中できないこと(というか、今すべてに集中できるならこの本はいらないのですから)を未来の夢(まあいえば利益、メリットです)からみて、集中させるということを述べました。
 人間のすぐれたところは、言語をもつことで論理を構築し、まだみぬ先を読み込むことができるということです。つまり、とらぬたぬきの皮算用、あたっていない宝くじ3億円の使い道を考えて、イキイキ、ワクワクできるということです。

 このすぐれた人間の能力、先見力、未来予知力という、はったりまくって悦に入れる、“一人よがりで自分はハッピー力”を生かさない手はありません。というか、成功者っていうのは、皆、この力を充分に使った人だからです。
 信念の人ほど、「大ぼら吹き」って、「大風呂敷を広げて」と、皆、言われていたのですからね。
 夢をみるのは自由です。そこから心身をよい状態に化かし、そしてこれまでよりも大きな集中力を手に入れてしまおうということです。夢を思い浮かべるとき、いい状態じゃないですか?そのときは、大いに集中していませんか。

 幼稚園で子どもたちに大きくなったら何になるか絵を描かせますね。宇宙飛行士と公務員、どちらが描いている子どもがワクワクしていますか。「宇宙飛行士なんか職業でねえだろ」って、つっこみはやめましょう。
 できそうにないことを描いた方がいいですよね。でも、公務員も難しいし、「安定だけを求めて、そうなれてもリストラされるなら、何のための公務員?」とつっこまずに、堅実にマイホーム、世界旅行、早期退職の天下りと○○接待など、そこまで夢みることができたら、実現度が高いでしょうね。
 高校生や大学生になっても、「宇宙飛行士になりたい」…、そういう夢は捨てなければ、これからは実現しそうです。金で宇宙旅行も行けるようになりましたし。
 ともかく、集中できるように目的を明らかにします。それを、“夢メモ”に記入しましょう。


8 集中を邪魔するものがある

 次に、集中できない原因をすべてあげてみてください。自分なりに分析して、一つずつ解決の方向を記入してみましょう。
 集中を邪魔するもの、このなかで大親分を雑念といいます。煩悩といってもよいでしょう。つまり、うまくいかないというのは、悩みです。
 仕事とは、いかにうまくいかないものを見つけて、問題としてとりあげ、解決していくのかということなのです。ですから、それを妨げるものを、具体的にリスト化してみましょう。
 悩みに対して、悟りがあれば、悩みは解決します。偉人の教えは、そこに集約されます。諦観する、あきらめて己の分を知るというのでも構いません。

 しかし、それでは仕事はうまくいかず、人生は落ち着いても拓けていきません。欲を捨てるのはよいことですが、そういう人はこの本を買いません。
 集中力をつける答えが、欲を捨てることというのでは、宝くじで絶対に損しない方法、宝くじを買うなということに似ています。確かに一理はあるのですが。

 欲をはっきりとさせましょう。欲をかなえようとすること、人間、欲も大切です。それゆえ、悩むのも人間だから、です。でも、悩みっぱなしは健康に悪いし、集中力も欠いて気分もよくありません。他の人にも役立つように解決していくのが、あなたのすべき仕事です。それには欲を書き出してみることです。どんなことでもかまいません。
 己の醜い姿をガマガエルのようにみて、タラリと汗を流すのです。私がのぞくわけではありませんから、思いっきり願えば全てかなわんとばかりに欲を書きとめてみてください。

○欲望リスト              
○それを妨魔する要因リスト

 欲するというのは、生きることに真剣になる、自分の人生を考えるということになります。そこに、商品や贅沢なことばかり並んでもかまいません。それを実現するには、まじめに働かなくてはなりません。銀行強盗?それが目的なら、どうぞやってみてください。しかし、必ず、あなたのその次の夢の実現から遠ざかりますよ。だから、あなたはやらないのです。人間社会、結構、うまくできています。
働くことでも、「働かなくてはいけない」というのではなく、まじめに働けるととらえるとよいと思うのです。仕事や人間関係がうまくいかなくとも、まじめに働くと、まわりから認めてもらえます。それは、一歩ずつ夢に、欲をかなえるのに近づいていきます。信じてくださいね。


9 集中を邪魔するものをとる

 もともと、あなたが無限にもっているのが集中力です。それを邪魔して発揮させないようにしているものがあれば、明らかにしましょう。敵の正体を知ることです。その解決には、まずあなた自身の今おかれている状況を明らかにすることになります。
 これもメモの形で、次のように記入してください。

◇集中力を邪魔するもの
 1.仕事
 2.他人
 3.健康、体力
 4.思い、考え方
 5.他の仕事、他の用事

 多くの人は、いろいろな雑用に囲まれています。「あれもやらなくてはいけない、これも」と気が休まらない。すると気は散り、集中力は失われます。
 そういうときは、すべての事を書き出して、整理して並べ替えることです。メモに書き出して整理することで、頭も整理できます。メモ上で並べ替えることで頭の中でも並べ替えられ、スッキリと納まります。

 何よりも頭で考えていることをすべて出し尽くす、それだけで排出の快感があるはずです。
 自分の頭の中って、何が入っているのか、出してみなくてはわかりません。簡単に出せてないものもたくさんあるのですよ。頭の中が一杯で、どうして集中力の働く余地がありますか。
 頭の中がスッキリすると、おのずと集中力は働きます。たくさんのことを同時にこなして集中力を欠かさない人は、気力、体力、欲、目標とともに、必ず頭の使い方をマスターしているのです。
 その一つが、整理法です。机や押入れの中を整理するように、入れているものをできるだけ出して、取捨選択をして、スッキリさせましょう。

1. 仕事が邪魔な場合
どうしましょう。やめましょうか。やめられますか?無理なら、○ページの私のように考えてください。確かに、好きな仕事を見つける、これはいいですね。でも、どうしてそうならないのかは、○ページに述べました。

 私が思うに、あなたが日本に住んでいる日本人なら、そんなにあなたの適性とかけ離れた仕事にあなたは就いていないはずです。選んでいないでしょう。まわりがそもそも許しません。クビになっています。えっ、もっとよい仕事や能力を生かせる仕事があるはずですって。それなら、そこの社長に直談判してみてください。年齢が行き過ぎている、いいえ、本当に能力があればやらせてもらえますよ。
誰でも仕事のできる人、稼げる人は、欲しいのです。もちろん、仕事の力には協調性も入りますけど。
普通で3倍、特別に入れてもらうなら、10倍くらい、他人より能力が必要です。ってな人は、自分で起業しているわけでしょう。ということで、大半の方は、今の職場にいるのが、正しい選択なのですから、まず、そこでTOPになりましょう。

2.他人が邪魔な場合
ケースバイケースです。本一冊分いるので、後で。

3.健康、体力が邪魔な場合
他書にゆずります。

4.時間管理が邪魔な場合
他書にゆずります。
なぜなら、邪魔するものの、ほぼ9割は、

5.あなたの思い、考え方
からきているのです。この本では、それについて中心に述べています。

10 目的が目的なのかを疑おう

 ここで、さらにチェックして欲しいのは、目的メモ、欲メモです。ここに自分が記したのが、本当に自分の望むことなのか、よくよく考えてみましょう。
 たとえば、「司法試験で資格を取る」。これが目的のようにみえても、そこから本当の目的というのを、さらに探ります。これによって何をしたいか、どうありたいかという、その目的の目的ということです。

 多くの方は、記入するものがみつからなかったかもしれませんね。あるいは、仮に書き込んだが、本当に欲するものは別にあったのに、仏さまの教えに反すると、書かなかった場合もあるでしょう。
確かに、犯罪になることや非常識なことは書きにくいでしょう。
 私のセミナーなどで、こういうことを問われて「妻を闇夜に葬る」などと記入する人には、私は表の世界では知り合いになりたくありません。

 しかし、世の中よくできたもので、先に述べたように、やったことは身に返るようにできているのです。一時の目的でなく、最終目標、この世でのあなたの生きる目的まで考えていくと、そのように求めることが、赤裸々なものになることは少ないようです。つまり、誰もがそれなりに誇りある人生を願うからです。
 本テキストに関しては、集中力をつける手立てですから、その目的を達成することよりも、生涯かかって、それを考えていく手法を身につけることで充分という立場で述べています。

 ですから、もう一度、その目的の裏にある目的、その先にある目的をひっぱってきてください。
 その目的が、自分に対しても、何ら説得力をもたないと思った人は、まずは一生かかってというのでなく、もう少し近い将来にもってきましょう。「三年後に必ず死ぬとしたら…」こう考えるのも、有効な手です。

○自分の今後の目的は何か
 1.10年先
 2.5年先
 3.3年先
 4.1年先[Yearメモ]

11 目的を好きなことに一致させよう

 さて、大切な作業に入ります。いくら素晴らしい目的を掲げていても、自分にピーンとこないと、目的の実現も、ましてや、それによって促される集中力強化も期待できません。
 「やるぞー」で、目一杯の集中力を引き出すこと、それをキープすること、一日何回か、何分かでも、引き出すこと、それをここでは意図しているのです。
 よくありがちの目的、体裁のよい目的、他人の目的、他人の眼を意識した目的は、なかなか実行力をもちません。実行力とは、ここではあなたをその気にして、実行させてしまおうと、働かせる力のことです。

 だからこそ、本音のものに絞り込んでいってください。そして、それを今の自分が次に目指していくものという線上に、きちんとセットします。そんなことでは無理? かなわない? それはそうでしょう。目的というのですから、今できないのです。つまり、いくつかの条件を適えないと、うまくいかないものです。しかし、それを本当にわかっていますか。その邪魔する要素を知ることも大切なことです。
 
 ある受験生の目標は、“東大合格”だとします。それがお母さんのためでも学校の先生のためでもなく、自分の目標だとしたら、それは、何のためでしょう。

1. 自慢できるから 2.一生安泰だから 3.自分の選べる仕事につけるから……、など。

 どれでもいいです。人生は長いのですから、あとで変わることも当然あるでしょう。今、あなたがどう感じるかです。仮に、「東大に入り、一級建築士になるため」とします。しかし、その資格がとれても、どうしたいのか、どうするためにその資格が必要なのかがみえません。
 それに、なぜ東大なのかという一貫性はありません。もしそう願うなら、東大卒の一級建築士になりたい理由をはっきりさせましょう。
 そう、みえないのですから、みえるようにしましょう。絵にすればよいのです。

 ある漫画家が、「ラブストーリーは結婚式で終わる、だから漫画だ、人生はそこからなのに。」とこぼしていました。資格をとるのは、絵にはできます。しかし、取ったという場面でしかありません。人生はそこから始まるのですから、次のステージのワクワク、イキイキの絵が描けるかどうかが、決め手なのです。
 特に日本人には、入学、入社、結婚がゴールという考え方が根強いようです。それは、誰が考えても新たなスタートラインです。確かにかつて、そういう時代がありました。入ったら、ゴールまでエスカレーターだったからです。そこで何を成すかより、そこに入ったことで評価された。今やもう、それは通じなくなりつつあります。日本人にも、人生の目標や生きがいなどが、個別に問われるようになったのです。

 東大に入るかどうか、そこを中退するかどうか、結婚するかどうか、離婚するかどうか、悩んでいる人もいます。しかし、それはそのあとのあなたの絵によって決まるのです。
 その絵は少なくとも、あなたの好きな絵でなくてはなりません。好きな絵が描けたら、その人の人生は、絵のようにならなくても充分に幸せなのです。その絵を夢見て希望をもって歩んでいけるからです。


INDEX