ヴォーカル、ヴォイストレーニングQ&A |
[1]姿勢(フォーム) |
ヴォーカリストは、さまざまな格好で歌っています。前のめりになったり、上を向いたり、走りまわったり、踊ったり。私も、そのようにはでに動きまわって歌いたいのですが、動くとうまく歌えません。どのような姿勢で歌うとよいのでしょうか。 | |
A001 歌を歌う場合に限らず、姿勢といったときには、1立ったときの姿勢 2座ったときの姿勢 3寝ころんだときの姿勢の三つが考えられます。しかし、ステージで歌を歌うときはほとんど、立っているわけですから、基本は立った姿勢となります。ただし、まっすぐ立ったときにうまく声を出すのはなかなか難しいものです。そこで、座ったり、寝ころんだりした姿勢でトレーニングをする場合があります。
歌うときの、理想の姿勢(フォーム)を身につけるのは、とても難しいものです。プロのヴォーカリストであってもほとんどの人が、いまもって課題としているほどです。ましてや初心者が、本など通して、完璧なフォームをマスターするのは、容易なことではありません。 正しいフォームを習得するには、 常にリラックスしたフォームを保って歌うのは難しいので、慣れないうちはどこかに力が入ってしまうものです。クラッシックバレエのレッスンは鏡張りの部屋で行われます。ヴォーカルにおいても姿勢は声を出すために重要なことです。いつでも、フォームを意識して練習することが、自分のベストなフォームを習得するための近道なのです。どんなにはでに動きまわるステージであっても、まずは、しっかりしたフォームを身につけること、それが基本です。 |
オペラをみたとき、ある場面で、歌い手が、床に横たわったまま、朗々と歌っていました。声も全くしぜんで変わりませんでした。寝ころんでも歌えるのは、なぜなのでしょうか。 | |
A002 横たわった姿勢での発声は高度なテクニックが必要なように見えますが、実際は特別難しいことではありません。むしろ、歌うフォームを身につけるための大事な基礎トレーニングの一つとして、ここでは紹介しておきたいと思います。 |
私は立って練習をしていると、すぐに疲れます。姿勢も悪くなって、声も出にくくなります。むしろ、座ったときの方が声がうまく出るように感じます。座って練習してもよいのでしょうか。 | |
A003 基本的には、立ってトレーニングするのが普通ですが、立った姿勢は最初はうまく声がでにくいものです。イスに腰かけて、下半身からリラックスさせたところから、フォームをつくっていくのもよい方法です。 |
日本人の体格やプロポーションもよくなり、食べているものも変わらなくなったのに、どうして声の点では、外人ヴォーカリストより劣っているように思えるのでしょうか。また、太った方が声が出やすいとか、首が太い方がよいとか、鳩胸でっちりがよいというのは、本当ですか。 | |
A004 歌うための声について考えると、日本人の日本語にはやはり弱点があると言えます。特に欧米圏の言語を話す人々との大きな違いの原因となっているのは、浅い発声で成り立つ日本語そのものの性質、そして日本人の普段からの姿勢です。日本人の場合どうしても猫背になりがちで、声を出すのに有利な姿勢を作るところから、かなり苦労してしまうのです。 |
ヴォイストレーニングをやっていると、下半身がとても疲れます。足がつったり、ひざがガクガクになったりします。何かやり方がおかしいのでしょうか。ステージでも、そういうことがよくあります。立って歌うとすぐに疲れるのです。 | |
A005 立った姿勢というのは自分の体を支えなければならないのですから、声を出し続けるといった慣れないことをするには、寝ころんだ姿勢、座った姿勢よりも、力が入りやすいのです。立った姿勢で長時間何かをすることは、歌わなくとも、それなりのエネルギーが必要なわけです。ですから、立って歌ったり、ヴォイストレーニングをすると疲れるというのは、当然のことでしょう。 <日常生活の中でできる足腰を鍛えるトレーニング> |
リラックスして歌うように心がけているのですが、どうしても体に部分的に力が入ります。喉も痛くなります。どうすれば、うまく脱力できるのでしょうか。 | |
A006 極端なときは、足がつるようになったり、お腹や腰が痛くなったりします。 これらの症状があらわれるときは、無駄な力が入りすぎているか、その状態を続けすぎていると言えましょう。歌うときの姿勢が悪かったり、練習時間が長すぎたり、力を抜かないために起こる場合には注意しましょう。しかし、ヴォイストレーニングにまだ慣れない状態でやるときにもよく起こることなので、それほど気にしなくともよいとは思います。トレーニングの終わったあとに声がよく出るようになるのが好ましいのです。喉が少々痛んでも、次の日に影響が残っていないのならよいでしょう。喉が痛くなったり声が出にくくなるトレーニングは困りものです。もう一度、座った姿勢などで声を出す練習をしてみることも効果的ですし、足腰が、リキみすぎてしまうのであれば、片足立ちをしたり、両足のひざを少し曲げて体の重心を落として歌ってみるのも効果があります。体の一部分に力が入りすぎてしまうときは、このように体の他の部分に意識をもっていくと、力んでいた部分の力が抜けてきます。あるいは、もっと早く力を抜くためにはその部分に逆に力を入れてから抜くという方法もあります。ストレッチ体操などをしてみてください。 <ストレッチのトレーニング> |
私は、練習時間があまりとれないので、いつもすぐに歌い始め、うまく歌えないときは、少しだけ発声練習をやっています。しかしヴォーカルの人から柔軟体操をしたほうがよいといわれました。本当でしょうか。 | |
A007 歌うということは、体全体で行う運動なので、音楽のパートのなかでは、スポーツ選手や舞踊といった肉体をつかう芸術に近いものです。そういう分野での考え方の方がうまくあてはまることも多いのです。となると、体を柔軟にしておくことが、とても重要なことです。それが自分の体を思い通りに動かせるこつだからです。そうでなくては、正しい姿勢もできません。首や肩の筋肉が凝っていると、声帯をコントロールする筋肉にも影響が出るので、しゃべるときの声までかれてきます。歌うときにはこの影響がもっと大きくなります。そこで体をマッサージをしたり柔軟体操をして筋肉を柔らかくしておくことは、訓練のできていない声でむやみに歌うよりよほど大切なことなのです。これは、毎日欠かさずにやるべきことでしょう。リラックスをした状態でトレーニングするためにも体がかたい人やいつも凝っている人は、よく全身の筋肉をほぐしておくことです。柔軟な体を保つことは、ヴォーカリストを目指す人にとって必須条件です。 |
歌うときやヴォイストレーニングをするときの正しい姿勢というのが、皆、いろいろなことをいうのでよくわかりません。いったい、どのくらいのことにどれだけ気をつければよいのでしょうか。正しい姿勢のチェック方法を教えてください。 | |
A008 歌うときの基本は、しぜんでリラックスをした姿勢です。他に細かい注意もたくさんありますが、これが大原則です。 |
ステージで動きながら歌うとうまく声が出ないのですが、どのようにすればよいでしょうか。 | |
A009 声を出すことがしっかりとマスターできていないうちに、体を動かしながら歌うと声が出にくくなるのはあたりまえです。しかし、ステージの上では、直立不動で歌いつづけるわけにはいかないものです。激しい動きをしながら歌おうとすると当然、息が乱れ、声も乱れてきます。多少の動きをつけながら、正しいフォーム、息を乱さないような練習をしましょう。 <激しい動きのなかで声を出すトレーニング> |
ブレスヴォイストレーニングでは、よく前屈姿勢で、声を出させているようですが、これはどうしてですか。私は体を曲げて練習すると頭に血が上ぼってしまうのですが、やり方がおかしいのでしょうか。 | |
A010 正しい声の出し方を知るために私は体を曲げた姿勢(前屈姿勢)でのトレーニングを勧めています。腹式呼吸を身につけるためには、お腹の前の方がやたらと動かず、横隔膜をとり囲む筋肉が全体的に使いやすくなることが必要です。こうすると、息をコントロールする場所が感じやすくなるからです。 <前屈姿勢のチェック> |