ヴォーカル、ヴォイストレーニングQ&A |
[11]トレーニング一般 |
ヴォイストレーニングを受けています。しかしトレーニングを意識するとうまく歌えないのですが、それでも意識するべきでしょうか。 | |
A086 トレーニングに慣れないうちは誰でもうまく歌えないと思います。たとえば、自転車でも、乗れるようになるまで結構苦労した覚えがあるでしょう。それと同じようなものです。 幼い頃から三輪車でペダルの踏み方やハンドルの操作、速度などに慣れてゆきます。補助つきの自転車から補助をはずして何度も転びながら練習してようやくひとりで乗れるようになります。いつのまにか一所懸命考えながらペダルとハンドルを動かしていた頃など思い出せないくらい、乗っているのがあたりまえのことになるのです。 歌うことも同じです。慣れぬ状態でヴォイストレーニングをしているのは、自転車の乗り始めのようなものです。最初はなかなか無意識にかっこよく乗れないのです。ヴォイストレーニングは自転車の補助輪と同じようなものです。その人の歌を間違った発声にならないように支えておき、やがては一人立ちできるようになるための準備なのです。今のあなたは、まだ補助なしでは乗れない段階なのです。だからヴォイストレーニングを意識しながらでなければ歌えないのでしょう。 自転車を自由自在に操作するのは、はたからみればとても簡単そうですが、補助輪をとれない人から見ると神業のようにも見えます。あるときに、いきなりうまくなっていくのです。それまではヴォイストレーニングをある程度、どこかで意識して歌うようにならざるをえないのは仕方ありません。 しかし、ライブのときは、全くトレーニングのことなど忘れてお客さんのためにがんばるべきでしょう。そのうち少しずつ、トレーニングが歌に反映されて、一致してきます。 |
タバコやお酒が声に悪いという話をききますが、実際はどうなのでしょうか。 | |
A087 確かに声にとってよくないものです。声帯はとてもデリケートな器官なので、本当に声のことを考えるなら絶対に避けるべきでしょう。 |
私は賃貸アパートに住んでいるので、ヴォーカルの練習ができないのですが、 何かよい方法はありませんか。 | |
A088 大きな声を出す練習は確かに近所迷惑です。私の知り合いのなかにも、エレベーターを待ちながら、そこがとてもひびく所だったので歌っていたところ、3階も上の人が歌声を悲鳴と間違えて大騒ぎになってしまったことがありました。大きな声を出している方は気にならなくても聞こえてくる人にとっては迷惑なことです。ヴォーカルのトレーニングは深夜は当然ですが、いつも周囲の人の事を考えて練習する必要があるでしょう。かといってスタジオを借りて練習するのは、そこへ行くまでの時間やお金がかかり、毎日続けるには難しいかもしれません。無理した結果、逆に次第に練習量がへっていくと、身につかなくなります。 <息>(腹式呼吸) |
ヴォイストレーニング、ヴォーカルトレーニングを学びに行きたいのですが、何を基準に選んだらよいでしょうか。スクールと独学とどちらがよいでしょうか。 | |
A089 ヴォーカルも一つの芸事だと捉えるのなら、しかるべき基本をしっかりとマスターしていかなくては、上達はおぼつきません。自己流でやっている人も少なくないのですが、声に関しては、第三者にアドバイスしてもらった方がよいでしょう。できたら、しっかりと声の判断ができる人につくことをお勧めします。 |
トレーニングを受けるときには、グループと個人とどちらがよいのでしょうか。あるスクールに行ったところ、グループ指導だったので身につかなかったように思うのですが、やはり個人レッスンがよいのでしょうか。 | |
A090 どちらにも一長一短があり、一概にはいえません。ただ、スクールのグループのトレーニングをみていると、楽譜通りに歌を覚えて、皆で歌ってみて、せいぜい、最後に一人一曲歌うくらいです。これでは、カラオケ教室と変わらないので、曲を覚えることくらいしか身につかないのはあたりまえでしょう。 |
ヴォーカリストになるためにヴォイストレーニングを独習しています。独習でも正しく身につくものなのでしょうか。何かよい参考書があったら、教えてください。 | |
A091 ヴォイストレーニングは、基本を執拗なまでに繰り返す必要があります。ときには単調に感じて、やめたくなるときも出てきます。そういうときに自分に厳しくできる人でなくては独習は難しいでしょう。しかし、絶対にできないものではありません。 |
私は、まだ高校生で毎日が忙しくて、時間がとれません。しかし、ヴォーカリストになりたいと本気で思っています。今、毎日できるトレーニングはないでしょうか。また、いくつくらいから、ヴォイストレーニングをやればよいのでしょうか。 | |
A092 ヴォーカリストと年齢ということでいうならば、そこには何の制限もなく、あなた自身の考えによると思います。あなたが、まだ若すぎると思うなら、早すぎるでしょうし、もう遅すぎると思うなら、遅いということでしょう。ヴォーカリストということが何を意味するのかということも、人によってそれぞれ違うでしょう。三十歳からでも歌っていきたいのだという人がいても、全く遅くないでしょうし、五、六十歳で歌いたければ歌ってもよいわけです。こういう問いへの答えは、所詮その人が自分の行動で出していくべきことだと思います。 |
僕はバンドを組んで、ヴォーカルをやりたいのですが、よいメンバーが集まりません。雑誌などの告知欄で捜したり、スタジオのビラをみて応募してみるのですが、いつもうまく続きません。よいメンバーをみつけ、長続きさせる方法を教えてください。 | |
A093 実力のあるヴォーカリストには、相応のバンドのメンバーが集まります。少なくとも今の日本では、実力のあるヴォーカリストは希少価値で多くのレベルの高いバンドはそういうヴォーカリストを捜しているからです。 |
ヴォーカリストというのは、皆、ヴォイストレーニングをやっているものなのでしょうか。何となく、トレーニングをしてヴォーカリストになれるというのは信じられないのですが、本当になれるのでしょうか。 | |
A094 これも、ヴォーカリストの定義をはっきりとさせないと答えらないことです。あなたが、どういう人たちをヴォーカリストと思っているかによっても、答えは違ってくるでしょう。俳優やタレントさん、コメディアン、CMのモデルさん、若くて顔が可愛いだけのアイドルが、すぐに歌いだす日本では歌を歌えばヴォーカリストですが、こういう人たちがヴォーカリストだとすると、きっとトレーニングよりも別の要素が占める割合が大きいでしょう。その辺のライブに出ているヴォーカリストでも同じです。あなたが本当にすごいヴォーカリストだと思って聴いた人が何人いますか。 |
ヴォーカリストをやっていく上で楽器を弾くことができた方がよいのでしょうか。音楽理論やリズムトレーニングも専門的に習った方がよいのでしょうか。 | |
A095 歌も音楽であることにおいては、音楽の知識や理論も最低限必要です。楽譜が全く読めなくともヴォーカリストにはなれますが、それほど大変に労力のかかることではないので、こういうことを考えた機会に勉強を始めてはいかがでしょう。 |
ヴォーカリストにとって、声のよくなる食べものとか、食べるとよくない食べものなどはありますか。 | |
A096 食べものに関しては好きずきですから、あまり、気にしないことではないでしょうか。辛すぎるものや刺激の強いもの、冷たいものなどはよくないといっている人もいますが、私自身は、あまり関係ないと思っています。もちろん、とても素晴らしい声を聞かせなくてはいけない一流のクラシック歌手などは別かもしれませんが、ポピュラーのヴォーカリストでしたら、食べもので、歌が影響されるような頼りのない声の鍛え方をすべきではないでしょう。 |
一日どのくらいヴォイストレーニングをすればよいのでしょうか。また、風邪のときはヴォイストレーニングをしてもよいのでしょうか。 | |
A097 基本的にヴォイストレーニングに関しては、質のよいトレーニングを正しく短時間集中して行うことです。だらだらとやっても効果がありません。何時間やるかということよりも、毎日わずかでもよいから続けてやることの方が大切です。声が出せないときには息を吐くトレーニングだけでもよいから、一日も休まず続けてください。 |
寝不足や不規則な生活は歌によくありませんか。また、体力がないとヴォーカリストになれないのでしょうか。 | |
A098 これもヴォーカリストとして、どのようなスタンスで考えていくかということによりますが、スポーツ選手にとってよくないことは、ヴォーカリストにとってもあまりよくないと思ってください。しかし、一睡もできなかったからといって歌えないというわけではありません。 |
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自宅で声を出すために防音ルームのユニットを購入しようと思います。いろいろなメーカーから発売されているようですが、広さとか、あればよい備品(オプション)について、教えてください。また、いくらぐらいのがよいですか。 | |
A099 防音ルームに関しては、私もいろいろな方の相談を受けて、実際にアドバイスしてきました。できたら、専門メーカーのもので、担当者がしっかりしているところを選ぶことです。 |
ヴォーカリストになるため、あるいは、ヴォイストレーニングのために参考となるような言葉があれば教えてください。毎日の練習のときの信条、励みにしたいと思います。 | |
A100 自分の中に音楽・歌・世界を作り上げていく喜びを得るためには様々な試練が待っています。以下の心得を胸に刻んで努力してください。 <ブレスヴォイス・トレーニング信条> |
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