ヴォーカル、ヴォイストレーニングQ&A |
[5]声域 |
声は他の人より出るのですが、どうもうまく歌えません。僕はヴォーカリストに不向きなのでしょうか。 | |
A040 ヴォーカリストに向いている声、向いていない声というのは特にありません。人が賞賛するだけの価値をそこにつけられるかどうかだけだと思います。向き不向きではなく、チャレンジする資格は誰にでもあるということを忘れないでください。 <声を充分に生かすトレーニング> |
僕はバンドで歌っているのですが、高い声になると、バンドの後で消されて、うまく観客に伝わらないし、テープに入りません。何か高音をうまく聴かせる方法はありませんか。 | |
A041 多くのバンドでの誤りは、ミキシングで、ギターをヴォーカル以上に出してしまうからです。楽器はいくらでも高い音、大きな音が出せます。ヴォーカルを聞かせたいのなら、ギターやバンドの音自体をおとすことです。ただし、ハードロックやヘビメタでは、そういうわけにはいきません。もちろん、本当の原因はヴォーカリストが高い音をしっかりと歌えていないからいけないわけです。ヴォーカルとして体が充分に使いこなせるだける楽器になっていないから、どうしようもないのです。 <高い声を喉から解放するトレーニング> |
どうしても高い声と低い声が安定しません。声域というのは、トレーニングで広がるものですか。それとも、声域は生まれつき決まっているのでしょうか。 | |
A042 声域は生まれつき決まっているのかということに関しては、結論から言えば、ある程度の範囲内において、決まっているといえます。声楽の声種はおよそ声の高さで分けられています。女性では声の高い順に、ソプラノ、メゾソプラノ、アルト、男性では、テノール、バリトン、バス、です。声域は、その人の声帯や、体格によって決まってきます。高い方が出すのが難しいのか、低い方が難しいのかは、それぞれに違います。高い声域の人には、低い声を出す練習が必要ですし、低い声域の人には高い声を伸ばす練習が必要です。声域は、練習によって、ある程度は伸びるものです。 |
年齢が増すとしぜんと声域が伸びるから、待っていればよいと、ある先生にいわれましたが、本当に年とともに声域は広がるのでしょうか。 | |
A043 変声期を過ぎた大人ですと、30才を過ぎた後は、年を増すごとに、声質は太くなり、ほんの少しずつ低くなってくるのが普通です。しかし、これは、声楽家、オペラ歌手などに比べ、ロックやポップスのヴォーカリストの場合、ほとんど影響はありません。かえって微妙な声質の変化は、その人の味わいを増すともいえます。若い頃からスーパースターであるレイ・チャールズや、ダイアナ・ロスや、ミック・ジャガーなどは、年とともに声の深みを増してきているような気がします。 |
マライア・キャリーというヴォーカリストは何オクターブも出せるそうです。人間の声というのはいったい何オクターブ出るのでしょうか。 | |
A044 普通の人の声域は、せいぜい1オクターブから1オクターブ半ぐらいでしょう。極端な例では、世界的な声楽家のなかには、4オクターブ以上の声域を持つという人もいるそうです。しかし、これはほとんど例外で、一般的には2オクターブの声域があれば、かなり広い方だといえます。 |
私は自分の声域がどのくらいあるのか、どの音からどの音まで出るのかわかりません。私の声域はどこなのでしょうか。 | |
A045 声域は、ピアノを使うと簡単に調べられます。まず、鍵盤の真ん中の“ド”を弾きます。そこを基準に、まずは一音ずつ“ド・レ・ミ・ファ…”と上げて、それに合わせて歌ってみましょう。そして声が出なくなったところが、あなたの声の上限です。逆に、“ド”から“ドシラソファ…”と一音ずつ下げていって声の出なくなった所があなたの声の下限となります。正確には、女性はその音を、男性はその音を聞いて、1オクターブ下の音を出しています。歌で使える声域は、無理のなく、コントロールの効く声域なので、このように声が届いていればよいというものではありません。従って、上限と下限よりは少し狭くなります。もっと簡単な調べ方は、自分が上から下の音まですべてをギリギリで歌える歌のキーを調べることです。 <声域のチェック> 声の高さの目安 |
よくキーを聞かれます。私はよくわからないのですが、楽譜のはじめに書いてあるコードネームを答えています。歌でいうキーとは何なのでしょうか。 | |
A046 同じ曲を歌うときでも、人により声域が異なり、歌いやすい高さが違います。わかりやすい例でいうと、カラオケの機械に付いている、キーを変える変調機能(キーコントロール)を思い出してみてください。少し下げて歌いたいなというときは、キーを下げると自分の歌いやすい高さになりますし、もちろん高くすることもできます。このようにキーとはその曲の全体の高さを決めるものです。日本語で言うところの調(ちょう)のことです。 <キーについて> |
私は音域が狭く、1オクターブぐらいしか声が出ません。なんとか声域を伸ばして2オクターブ近い音域の歌を歌いこなしたいのですが、どんな練習をすれば歌えるようになるでしょうか。 | |
A047 歌いたい歌の音域が広すぎるからといってあきらめてしまうことはありません。声域をカヴァーするテクニックをお教えしましょう。 |
僕はハイトーンのヴォーカリストにあこがれています。高い声はある程度出ますが、もっともっと高い声を楽に出し、音域を伸ばし、さらに高い声を出すためのトレーニング方法を教えてください。 | |
A048 歌の勉強やヴォイストレーニングをしたいという人の大半が、高い声を出すことを目指しているようです。演歌、ニューミュージック、欧米のロックなどの曲のつくりも相当高い声まで使っているために、高い声が出せることが歌をうまく歌うための第一条件だと考えている人が少なくありません。 |
私の声は固いとかツヤがないとかいわれます。自分でもなんとなくガサついていると思うし、マイクに入りにくくて困っています。声が固い、ツヤがないのはうまれつきなのでしょうか。どのようにしたら治るでしょうか。 | |
A049 これは比較的大きな声を出して歌っている人に多くみられます。まず、マイクのポジションをチェックしてください。大きな声で歌う人は、口からマイクを離しすぎることが多いのです。プロのヴォーカリストが歌う場では、音響も専門の人が調節してくれるのですが、カラオケなどでは声量のない人に合わせてヴォリュームが上げられています。そこで声量のある人が歌おうとすると音割れを起こしてしまうので、思わずマイクを遠ざけてしまうようです。こういうときはマイクを離すのではなくヴォリュームの方を調節してください。マイクのポジションは近すぎず、遠すぎず、位置を正しく定めたうえで、声の質を確認してみてください。 <声を柔らかくするトレーニング> |