ヴォーカル、ヴォイストレーニングQ&A |
[7]共鳴 |
私の声は、あまりひびきません。声をキンキンとひびかして歌っている人も好きではありません。声はどうしてひびかすのでしょうか。 | |
A058 人間の声も、声帯を振動させただけでは、喉頭原音と呼ばれる、ひびきのないすきま風の音のような、単なる鈍い音にすぎません。この喉頭原音を共鳴腔にひびかせてはじめて話し声や歌っている声となるのです。声をうまくひびかすことは歌うときのみならず、声を出すときには、なくてはならないものです。正しいひびかせ方を充分にマスターして、自分の思い通りにコントロールできるようにならなくてはうまく歌えないでしょう。この共鳴が、声量のコントロールや歌のメリハリを決めていきますから、声のひびかせ方はヴォーカリストにとって重要なテクニックとなります。 |
私は、アとエの音では歌いやすいのですが、イやウの音が苦手です。アとエはひびくが、イとウはひびかないのです。特に高い音になって伸ばすときには、全く声になりません。イとウが出てくると歌が難しくなるといってよいほどです。 | |
A059 日常会話のときでも、日本語のイとウの母音は誰でもひびかせづらく浅く平べったくなりがちです。ア、エより、発音するときに口の中が狭くなるためです。こういうときは、苦手な音だけを練習するよりも、うまく出せる音にその音をとり込んでいくようにしてください。 <イ、ウをうまく出すトレーニング> |
僕は、ヴォーカリストとして、けっこう高い音まで楽に出ます。きれいに上の方までひびくのです。でもプロの人に比べてひびきがうまくまとまらないように感じています。パワーも出ません。何が違うのでしょうか。 | |
A060 高い音が苦労しないで出る人には、ちょっとしたコツで浅く口先だけでひびかせて歌っている人が多いようです。そのため、出ているひびきが四方八方へ拡散して、まとまりに欠けてしまいます。ひびきをまとめるために効果があるハミングでトレーニングしてみましょう。 <ひびきをまとめていくトレーニング> |
ひびきが一定に保てません。どうすればよいでしょうか。 | |
A061 まず、一つの原因として考えられることは、声を出しているときに、口の中や唇のかたちが、微妙に変わってしまう場合です。唇のかたちに気をつけていても口の中はほんの少しかたちが変化するだけで、ひびきは大きく変わってしまいます。試しにアの母音で歌いながら口のかたちは変えずに、舌を前の方と後へひっこめたりしてみてください。これだけでも、ずいぶんと音色が変わるのがわかると思います。 |
演歌などで聞くビブラートと洋楽のロックヴォーカリストのビブラートは全く違うように感じます。ビブラートというのはいったい何ですか。 | |
A062 ビブラートとは簡単にいうと、音程を微妙に上下に震わすことです。もう少し詳しく説明すると、 <ビブラートをしぜんに身につけるトレーニング> |
ビブラートをつけた方がよいのでしょうか。 | |
A063 歌にビブラートをつけた方がよいという人と、ビブラートさせてはいけないという人がいます。これはビブラートがどういう状態を示すのかが使っている人によって違うので、どちらがよいとは言えないのです。 <息と声をミックスさせるトレーニング> |
僕は、洋楽のロックヴォーカリストにあこがれています。そこで、一番困っているのは、彼らのようにシャウトして歌えないことです。どうして、彼らは高音でもパワフルにシャウトできるのでしょうか。また、シャウトして歌うためにはどのようにすればよいでしょうか。 | |
A064 日本人というのは、大きな声を出すのが苦手で、しかも日頃からあまり大きく出さないために、いつまでたっても、声がしっかりと魅力的なものにならないようです。歌よりもまず、大きな声でシャウトできないことには、歌のなかでシャウトできるはずがありません。 <シャウトするトレーニング> |
私の声はいつも伸びません。フレーズいっぱいに歌いたいのに息切れをしたり声がかすれたりしてうまく伸ばせないのです。力を入れるとすぐのどにひっかかります。声が長く伸ばせないのを直すことはできますか。 | |
A065 まずあなたの歌いたい歌のなかで、声を伸ばす必要がある箇所を探してみましょう。案外少ないことに気付くはずです。 |
プロのヴォーカリストは皆、声を伸ばしているときに喉が震えているような柔らかなビブラートがついています。私はつっぱったような声になることが多く、声が安定しないのですが、なんとかビブラートをかけたいと思っています。よい方法はありますか。 | |
A066 結論から言うと、ビブラートは上達すればしぜんに身についてきます。声は共鳴によって出るものだから、メリハリをきかせるためにフレージングを工夫したり、高音域で歌ったりしていれば、共鳴の流れが否応なしに声に表れてきてしまうのです。それが歌に心地よいゆらぎを加えるとき、ひとつの技術となるのでしょう。 |
歌が一本調子で、盛り上げられません。声に張りがないせいかと思います。言葉も不明瞭だといわれるのですが、どうすれば直りますか。 | |
A067 これは普段から注意すべきことです。いつも声に張りがなく、言葉が不明瞭なのに言うときだけよくなるということはないでしょう。逆にいつもハキハキしていて、きれいに言葉を発している人は、歌でもそれほど苦労しないと思います。さらに言葉のトレーニングをなるべく大きな声で、毎日続けていれば必ずよくなってきます。歌のトレーニングをきっかけに今まで意識していなかった普段の声もよくなればすばらしことだと思います。 <声を明瞭にするトレーニング> |